仕事が忙しくて全然自転車関係の記事を読むのが進まない。
残業続きだし、フレームも組まないといけないし!

そんなこんなで適当なRead laterが増えていく。
今回はカレブ・ユアンの話をさせて頂きます。
ちょっと時間に余裕がないので、記事は二分させてください。

低身長の私にとってヒーローは2人
エステバン・チャベスとカレブ・ユアン

身長が同じだと応援したくなるものだよね

今日はユアンの前傾スプリントについての話。
(なぜか今年は国内記事でイーウェンって表記されたりしてるけどユアンでいいじゃん。マクレガーもユアンだし。)

世界に衝撃が走ったのは2016年のツアー・ダウンアンダー。
当時24歳のオージーが異様な超低姿勢前傾スプリントで3回も勝利した。
この出来事から彼はツアー・ダウンアンダーだけ全力出すマンと呼ばれることとなった
2017年のツアーオブブリテンも活躍してたけど。まあブエルタの裏だしな。
そして2019年も好調な模様?





世間は思います。

「たしかに、めっちゃ効率的な姿勢かもしれないけどそのポジション、本当に速いのか?」

しばらくして2つの研究グループからユアンのポジションに関する研究論文が出される。
1つはオランダから。もう1つはオーストラリアから。
それぞれ地球の反対側で、お互いの存在を知らずに同じ研究をしていた。

2つの研究グループの実験や解析の方法は異なるんだけど、ほぼ同等という素晴らしい結果に。

結論:通常のスプリントに比べると、ユアンのポジションは想像以上に空力効果がある。



…記事は続きますよ。
ここまでは梗概的なものです。


ちょっと書いてて面倒になったので、当ブログでは「ユアンのようなスプリントのポジション」は「ユアンポジション」と総称します。

・姿勢を低く保つことについて
多くのライダーは、スプリント時の姿勢について意識をしない。パワーを全力でPOWEEEERRRR!!!!できるポジションをとって、持っているものを全て出し切るから。

でも分析的なアプローチをとると、ちょっと知識が増えるよ。

スプリント時の空気抵抗はめちゃくちゃでかい。
時速54kmの時には抵抗全体の90%、時速65kmの時には95%を空気抵抗が占める。
ライダーが受ける空気抵抗は速度の2乗に比例する!!
そしてその空気抵抗を打ち破るには、速度の3乗に比例するPOWWWERRRRR!!!が必要になるのだ!!!
直面する空気の壁を少しでも減らす為の超低姿勢、メリットはどの程度あるのだろうか。


・オランダの研究論文(原文はこちら)
研究したグループは、もともとバイクの空力の研究をしていて、過去にフルームのトップチューブ乗りの研究でメディアの注目もあったようなところ。すっかりフルーム乗りで通るようになってしまったな。
FullSizeRender
「フルーム乗り」の検索結果

上記の研究をしたあと、ユアンポジションの研究を開始。

「せっかくスキャナーも買ったんだから、スプリントも研究しないとねHAHAHA」

オランダグループは2つのスプリントのポジションと3つのシッティングのポジションをスキャナーでデータ化し、CFD解析した。
風洞は設備も金も必要だからね!
スパコン借りるのも金かかるけどね!


ーーー論文から少し引用ーーー
グラフなら分かりやすいかなと思って

IMG_0950

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Images: © Bert Blocken, Eindhoven University of Technology & KU Leuven

Aがライダー前面投影面積(正面の面積)(左)
Cdが抵抗係数(中)
2つを掛け算してライダーの受ける空気抵抗CdAになる(右)

数値を表にしたのが↓
FullSizeRender
ーーーここまで論文よりーーー

ユアンポジションはレギュラースプリントポジションに比べて、ライダーの正面の面積が81%にまで減って、その結果空気抵抗は76%まで削減される!
言い方を変えると、前面投影面積を19%減らして空気抵抗が24%減る。
努力比107%だ!



・オーストラリアの研究論文
(原文はこちら 登録が必要な模様。読めない悔しい)
オランダがコンピュータつかってCFD解析する反対側で、オーストラリアでは協力してくれる人を集めてスプリントしてもらいました。
250mの道を往路と復路。

セッションは以下の通り。
・24〜26km/h
・31〜33km/h
・39〜41km/h

・シッティングポジション
・スプリントポジション
・ユアンポジション

・往路と復路

1人につき3×3×2の18回走って頂きました。

それぞれのポジションでの空力係数を決めるためにAerodynamic Drag Area of Cyclists Determined with Field-Based Measuresっていう論文を使用。

それで、測定したデータから、空気抵抗CdA値を算出。気になる数値は!?

・ユアンポジション:0.295
・スプリントポジション:0.372
・シッティングポジション:0.363

ユアンポジションはスプリントポジションに比べて26%空気抵抗が削減される結果になった。
(これ0.275の間違いでは…?)

なんとオランダとオーストラリアの研究結果はほぼ一緒になったぞ!

とりあえず前半のまとめとして、

ユアンポジションをとることで、空気抵抗は25%削減される。

続きは今後書いていきます。