ツールドフランスの直前にSCOTT FOILがアップデートしました。

2020-08-28





マイナーチェンジは得をするか?


主なアップデート点は

・新型フォークによるケーブルフル内装化、空力UP
・ADDICT RCと同じCRESTON IC SLハンドルの採用(全グレード)
・上記による軽量化、というかほぼハンドルのおかげか。
・タイヤのクリアランスは30mmまで拡大。標準で28cのタイヤが付属

といったところでしょうか。
ダイレクトマウントハンガーと通常のハンガーが付属するそうですが、私が買った旧ADDICT RCも付属していたので、今回のアップデートかどうかはわかりません。

エアロロード=ケーブルフル内装が当たり前になりました。
SCOTTの内装システムは機械式の変速システムであってもフル内装にすることが可能です。
CRESTON IC SLハンドルはADDICT RCと一緒の模様

FOIL2021
FOILもADDICT RCと同様にSCOTT式内装方法

IMG_1907
ADDICT RCのハンドル周り

といっても、機械式変速でフル内装したらアジャスタを取り付けられないんだよな…。
電動変速と違って使用や気温によって伸び縮みするワイヤーはアジャスタを取り付けておいたほうが無難な気もするが…うーん。

bikerader誌によると、FOIL ProはHMXカーボンを採用、FOIL 10/20/30はHMFカーボンを採用と従来通りの仕様を継続です。
フォークは全てHMXカーボン。

ADDICT RCの最上位グレードで使っているHMX-SLカーボンをこちらでも採用してくるかと思ったのですが、違いました。

海外のグレードごとの価格と値段は以下の模様。

FOIL Pro
コンポ:DuraAce Di2
ホイール:Syncros Capital 1.0 50
£8099(約115万円)


FOIL 10
コンポ:Force eTap AXS
ホイール:Syncros Capital 1.0 50
£5399(約76万円)

FOIL 20
コンポ:Ultegra Di2
ホイール:Syncros  RR2.0
£4949(約70万円)

FOIL 30
コンポ:Ultegra
ホイール:Syncros  RR2.0
£3599(約50万円)

ちょっと全体的に高めじゃない?
と思いますが、理由があります。
すべてのグレードにCRESTON IC SLハンドルを採用しているのです(bikerader誌が間違っていなければ)。

Capital1.0というホイールは、リムハイト50mm、内寸21mm、前後で1634gのホイールです(リンク)。
Syncros のホイールはDT SWISSで製造されているとの話があるので、悪いものではないでしょう。

フレームの重量は旧モデルとほぼ据え置きでしょう。
刷新したフォークの重量差もフル内装の構造を考えると、軽くなったかどうかは未知数です。
シートポストもADDICT RC(同形状)から継承すると、少し軽くなるでしょうか。

ADDICT RCの下位グレードで使われているRR ICステム+CRESTON IC 1.5という組み合わせは使われません。
「下位グレードは廉価ステム+ハンドルでもいいんじゃないの?」と思うでしょうが、
なぜ下位グレードまでCRESTON IC SLを採用しているのかというと…

RRIC
CRESTONIC15

あのステム+ハンドルの組み合わせ、とても重いんです。
スペーサーなどの部品も合わせたら600gに近い重量になります。
旧FOILで使えた汎用(1 1/4インチ)のアルミステム+アルミハンドルでも500gを切るくらいの重量になっていたはずです。
フレームを刷新したADDICT RCならまだしも、フレームを変えていないFOILはこの部分の手を抜くだけで旧製品よりも重くなるという現象が発生する可能性があるのです。

また、旧FOILの上位グレードに付属していたRR1.0は約390g。
新FOILに付属するCRESTON IC SLハンドルバーはだいたい320g程度。
こちらは順当な軽量化だと思います。

軽量化したと謳うためには、CRESTON IC SLハンドルの採用が必要不可欠だったのです…。
フル内装と軽量化を皆が求めた結果、価格マシマシになりました。

というわけで、旧モデルの最上位グレード FOIL PREMIUMのカタログ値が完成車7.48kgなので、FOIL PROが7.3kg台の重量になっているのではないでしょうか。
ホイール頑張ればあと200gくらいは削れるか。

Scott-Foil-12


ADDICT RCとFOILをどう区別するか。


全グレードHMXカーボン以上を採用しているADDICT RCと比べてFOILはそれほど硬いカーボン素材を使っていません。

ADDICT RCよりも「快適性」を重視しているように思えます。
扁平なシートステーなどからもその意図がうかがえます。

2020-08-28 (1)

プロレースを考えてみると、
ADDICT RCはオールラウンドエアロなれど、クライミングバイクです。
高剛性と軽量性でガンガンと攻めるタイプです。

simony

ライバルのアタックに反応し、チャンスを見て仕掛けていく。
その瞬間の出力に反応してくれるバイクでないといけません。
海外のレビューでもビンビンに反応してキレッキレなハンドリングという評価です。


一方でFOILに昔から求められるのはスプリントやブレークアウェイによる逃げ切り勝利などです。

Daryl-Impey-2-750x430
luka

最後の局面に全力で踏めるような脚を残すこと、集団から離れて逃げ続けられる走行性能と快適性が求められます。いうなればコンフォートエアロか。意図があってのHMFカーボンの継続採用でしょう。
アップグレードがごくわずかだったことを考えると、SCOTTとしてはFOILの設計は現状すでに完成していると捉えているのかもしれません。
とか言いつつ忘れたころにFOIL ULTIMATEとか言ってHMX-SLを使ったモデルを出してくる可能性が無いわけではない。

用途・目的によってライダーの求めるものが違うことを理解し、それに応じた設計をそれぞれ用意するというスタンスでしょうか。好感が持てますね。

ライバルと競い合い山を極めるのならADDICT RC、平坦を気持ちよく快適に飛ばしたいならFOILという感じでしょうか。
重量考えるとFOILでも山を十分に登れる軽さだと思います。7kg前半なら不得意にはならない。

ケーブルフル内装に興味が無ければ、投げ売られるであろう旧FOILが狙い目。ハンドルの選択肢も自由です。

というわけで、2020/8/29から始まるツールドフランスですが、ミッチェルトンの選手の誰がどちらに乗るか予想してみましょう。


ADDICT RC派
アダム・イエ―ツ
エステバン・チャベス
ミケル・ニエベ
サム・ビューリー

FOIL派
ダリル・インピー
ルカ・メズゲッツ
クリストファー・ユールイェンセン
ジャック・バウアー

といった感じか。きれいに半々。
ユールイェンセンが逃げるのでFOILはその時にいっぱい眺められるでしょう。

当たったら褒めてね。





半年以上前にFOILのモデルチェンジの内容を予想した記事


当たったから褒めてね。



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