漁ればなんでも出てくる世の中。

シマノやSRAMからHOTな技術資料が出てくる中、カンパニョーロはどうでしょうか。

Alan Coté氏が過去10年のカンパニョーロが世界中で申請している特許を調べ、HOTな資料をピックアップしています。



その中で面白いと思ったのはディレイラーに関しての部分。

まずリアディレイラーに関してはこちらの資料を上げている。

特開2018-150034 自転車の電動リアディレイラ

こちらの資料にはディレイラーの目立たない部分にバッテリーを仕込む方法が記載されている。
ちょっとだけ色で囲ってみた。
Alan氏がCyclingTipsに投稿した記事でハイライトしたものよりも広く囲っているが、これは私が電動ディレイラーについて面白がっている部分も含めている。

JPA 430150034_i_000004
JPA 430150034_i_000005
JPA 430150034_i_000006
JPA 430150034_i_000007
JPA 430150034_i_000015

20:リンク機構
22,222,422: 内側コネクティングロッド
24:外側コネクティングロッド
34:ギヤードモータ
40,440:バッテリ電源ユニット
46,246,446:区画
54,55:電気接点
444:充電ポート

文書内でこのあたりについて記載されている項目を抜粋する。

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【0017】
  一態様において、本発明は、自転車の電動リアディレイラであって(略)
  チェーンガイドを含む可動体と、前記可動体と前記支持体との間のリンク機構であって、内側のコネクティングロッドおよび外側のコネクティングロッドを含み、該内側のコネクティングロッド及び該外側のコネクティングロッドの端部が、関節接続型の平行四辺形機構を形成するように前記支持体及び前記可動体に関節接続されている、リンク機構と、
  バッテリ電源ユニットと、を備える、自転車の電動リアディレイラにおいて、前記バッテリ電源ユニットが、前記内側のコネクティングロッド及び前記外側のコネクティングロッドの一方のコネクティングロッドによって支持されていることを特徴とする、自転車の電動リアディレイラに関する。

【0019】
  このような構成によれば、スペースがより良好に活用されて空気力学性能が向上する。しかも、前記バッテリ電源ユニットが衝撃に対してより良好に保護され、かつ目立たたなくなる

【0020】
  前記バッテリ電源ユニットは、内側のコネクティングロッドによって支持されていることが好ましい。これにより、バッテリ電源ユニットが、衝撃に対してより良好に保護され、さらに目立たなくなる。しかも、前記リンク機構が占める空間にバッテリ電源ユニットが収まるので、バッテリ電源ユニットが占める実効的な空間が抑えられ、空気力学的影響も少なくなる。

【0021】
  変形例として、バッテリ電源ユニットを外側のコネクティングロッドによって支持してもよく、これによって、より容易にアクセス可能なものとすることができる。

  【0036】
  前記バッテリ電源ユニットは、前記区画内又は前記容器内に着脱可能に保持することができる。前記バッテリ電源ユニットを前記区画内又は前記容器内部に挿入して、該区画又は容器をしっかりと(強固に)閉じてもよい。前記区画又は容器は、しっかりと密閉されることが好ましい。

【0037】
  上述の各種実施形態では、前記容器を、前記内側のコネクティングロッド及び外側のコネクティングロッドの一方に、着脱可能に固定してもよく、あるいは着脱不能に固定してもよく、具体的には型成形により一体化(co-molding)してもよい。

【0050】
  バッテリ充電器又はケーブルへの、バッテリ電源ユニットをバッテリ充電器又はケーブルに着脱自在に接合するよう、充電ポートが設けられていることが好ましい。この構成は、バッテリ電源ユニットが前記内側のコネクティングロッド及び外側のコネクティングロッドの一方によって非日常的に着脱可能に支持されているものであるときに極めて有用であるが、充電ポートは他の場合に設けられていてもよい。

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カンパニョーロはバッテリーをディレイラーのデッドスペース的な部分に配置しようと考えたようである。ディレイラーの外見を損なうことを最小限にする、なんともカンパニョーロらしさを感じる。

そしてバッテリー部分はコネクティングロッドに支持されるという部分はポイント。
SRAMとは搭載位置が違うことは意識するところ。特許的に。

バッテリーに関しては、取り外しも固定も記載されている。しっかりと密閉するなら、固定式の方が製造はしやすい。保守性を考えると取り外しできた方が良い。



フロントディレイラーに関してはこちら挙げている。

特開2018-016301 自転車の電動フロントディレイラ

JPA 430016301_i_000005
JPA 430016301_i_000006
JPA 430016301_i_000007

72:充電ポート

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【0001】
  本発明は、電子的にサーボ支援されるギアシフト装置(以降、簡単に電子式のギアシフト装置と称する)の、自転車の電動フロントディレイラに関し、特には、それ自体の電源バッテリが設けられたフロントディレイラに関する。

【0013】
 一態様において、本発明は、自転車の電動フロントディレイラであって、前記自転車のフレームに取り付けられるように構成された支持体と、前記支持体にリンクを介して接続されたチェーンガイドと、前記チェーンガイドを伝動システムの歯車間で変位させるように前記リンクを駆動する電気モータと、バッテリ電源ユニットと、を備える、ディレイラにおいて、前記バッテリ電源ユニットが、前記チェーンガイドによって支持されていることを特徴とする、ディレイラに関する。

【0015】
  さらに、前記バッテリ電源ユニットは、前記チェーンガイドを安定化させて当該チェーンガイドの慣性を増加させることにより、当該チェーンガイドがより良好に振動に耐えられるようにする

【0033】
  この構成によれば、前記バッテリ電源ユニットが、衝突からより良好に保護されて且つ見えにくい。しかも、前記バッテリ電源ユニットは、前記チェーンガイドと前記自転車のフレームとの間に収まるので、実際のかさが小さくなり且つ空気力学的な影響も小さくなる。


【0058】
  好ましくは、充電ポートが、前記バッテリ電源ユニットの切離し可能な接続であって、ケーブ、又は合致するコネクタが設けられた充電装置を介した、商用電源(電力網)への接続のために設けられている。

【0059】
  いくつかの実施形態において、前記充電ポートは、前記支持体に固定的に支持されている。

【0060】
  他の実施形態では、前記充電ポートが、前記チェーンガイドにより支持されている。

【0063】
  好ましくは、前記充電ポートは、USBタイプのものである。

【0064】
  好ましくは、前記ディレイラは、さらに、前記ケーブルも前記位充電装置も存在していないときに前記充電ポートを保護するカバー、を備える。

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なんとFDの羽根の内側にバッテリーを搭載する仕組み。それによって慣性増加のメリットもあるよう。
ディレイラーの外見を損なうことを最小限にする、なんともカンパニョーロらしさを感じる。

バッテリーの搭載位置はFDのチェーンガイド(羽根)。
SRAMとは搭載位置が違うことは意識するところ。

Alan氏も言うように、フレームに取り付けた状態ではバッテリーへのアクセスはしにくい部分。
充電ポートはしっかりとあったほうがよさそうね。



ワイヤレスに関してはこちら、なんだけど、

特開2018-122850 自転車の電子式ワイヤレスディレイラ

これはワイヤレスの仕組みと電気エネルギーの消費について触れており、
チェーンの動きを検知してワイヤレスシステムを起動させる仕組みが書かれている。
JPA 430122850_i_000011
JPA 430122850_i_000002
JPA 430122850_i_000013
JPA 430122850_i_000007
JPA 430122850_i_000005


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【0019】
  具体的には、電子式ワイヤレスディレイラは、例えば電波通信装置、赤外線通信装置等の無線式の通信装置を備えており、この装置は、ギアシフトを要求する信号をハンドルバーのハンドグリップに固定された手動制御装置から受信するか、あるいはこの手動制御装置からその信号を受信したか、または自動的にその信号を処理した制御ユニットから受信する

【0020】
  そのため、自転車の使用時には、前記の電子式のディレイラの無線通信装置は、そのようなギアシフト要求信号を何時でも受信し得るように、常に動作モードでなければならない。電子式ディレイラの無線通信装置がスタンバイモードに入り得るのは、自転車が長時間にわたって停止しているときだけである。

【0021】
  そのため、電子式ワイヤレスディレイラ自体が、そこから発信された信号をウェーク信号として使用し得るように、自転車の運動(移動)を検出する検出器を備えている必要がある。

【0028】
  一態様において、本発明は、自転車の電子式ワイヤレスディレイラであって(略)
  
【0029】
  この構成によれば、前記無線通信装置や、場合によっては、電子部品たるや否かを問わず、ディレイラの他の部品も収容しているケーシングの統合性や水密性を損なう必要なく、前記運動検出器の点検、調節及び交換等のあらゆる介入操作を行うことができる

【0031】
  前記少なくとも1つの通信ケーブルは電気ケーブルであることが好ましいが、光ファイバーケーブルであってもよい

【0034】
  前記運動検出器は、磁場を生成する少なくとも1つの磁石および少なくとも1つの磁場センサを含み、該センサにより検出される磁場が、前記自転車が運動(移動)しているか停止しているかに応じて異なるものであることが好ましい。

【0179】
 本明細書の冒頭部分でも述べたように、運動検出器10は、自転車のチェーン100の運動を検出する非磁気式のセンサを含むものであってもよい。

【0180】
  例えば、前記センサは、図2~図14の実施形態と同様の形で配置された光学センサ(例えば光電セル)であってもよく、例えば、その光ビームがチェーン100の継手170,172部分の通過によって遮られ、チェーン100のリンク160の小型内側プレート162,164及び小型外側プレート166,168の通過によっては遮られないように配置された光電セルであって、その光源と光電セルとは、図示の構成要素12,14が並ぶ方向に対し、直交する方向に沿って、すなわち、前述の方向tと方向nの両方に直交する方向に沿って並ぶものとされたものであってもよい。

【0181】
  あるいは、前記光学センサは、図15~図18の実施形態と同様の形で配置され、リアディレイラのプーリ528,530に固定された小型ミラーが該光学センサに隣接する光源の前を通過した場合にのみ、光源に生成された光ビームが反射されるように構成されたものであってもよい。

【0182】
  より一般的には、運動検出器10は、チェーンの運動の検出に基づかないものであってもよく、例えば、傾斜計、ジャイロスコープ、振動センサ等であってもよい。

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動体検出について色々面白いことが書いてありますね。


Alan氏はこのカンパニョーロの特許に対しての予想として3つ挙げていて、

1.カンパもワイヤレスの開発に積極的に取り組んでいて、近い将来見ることができる。

2.R&Dを行い、ワイヤレス等に関連する知的財産権を確保しようとしたが、実用性・予算・競合他社の特許の為、アイデアは休止している。

3.ワイヤレス化などそもそも計画しておらず、競合他社の新し開発を妨害・複雑化するための申請。

気になるならプロチームの機材に目を光らせておけとのこと。


ところで先日上げたシマノ関連の記事。



さて、無線通信部やバッテリーがどの位置にあるでしょう。
おそらくどこも開発に必死でしょうな。