road.ccが今年のツールでのフックド vs フックレス事情を特集。

軽量化・製造簡素化・性能向上をうたって登場したフックレスリム。
互換性の懸念と安全性論争が続く中、2026年ツールでも少数派にとどまっているとのこと。



純フックレスリムを使用するWTチームは実質3チーム

WTチーム計18のうち、フックレスリムを使用しているのは4チームのみ。
残りはトラディショナルなフック付きリムを使用している。

フックレス勢は以下の4チーム
  • チーム・ジェイコ・アルウラ(Cadex)
  • モビスター(Zipp)
  • NSNサイクリングチーム(Zipp)
  • UAEチーム・エミレーツXRG(Enve)

  • と、なるのだが、ここに但し書きが必要となる。

    UAEが使うENVE SES 4.5 Pro は昨年から導入している「マイクロフック」付きのリム。



    ENVE「フック下の無駄な材料除きながら衝撃性高めてリム打ちやパンクの耐性備えてタイヤとの互換性も考えたらこうなったわ」というセミフック。リム幅の内寸も23.5mmと細めか。

    なので、純粋なフックレスリムを利用するチームはZIPP勢とCADEXの3チームのみ。



    フックレス利用率低迷の原因は?

    何故フックレスの採用率は上がらないのか。
    そこにはフックレスゲート事件と、規格の混乱がありそうだ。

    2024年のUAEツアーでZIPPのフックレスリムからタイヤが外れることによるクラッシュが発生した。
    ZIPPは4年の実績から、フックレスの安全性に問題はないと主張している。
    しかしながら、UCIのさじ加減次第で今後使用禁止となる可能性は否めない。そこに積極的に投資できるメーカーも少ないだろう。


    規格による互換性ありなしの混乱もあるだろう。road.ccも以下のようなことを書いている。
    ・最新のETRTO/ISO規格では、UCIレースにおいて「28mm表記タイヤ×25mm内幅リム」は非互換(フックの有無を問わず)。29/30mmのタイヤなら互換。
    ・ところが表記幅はあてにならない。
    ・同じ28mmタイヤでも19mm内幅と25mm内幅では実測幅が全く違い、同一モデルの28mmと30mmでケーシング幅がほぼ同じになるケースもある。
    ・なぜ片方が安全で片方が危険なのか?←これ答えてくれや
    ・UCI自身も、チームが従うべきISO規格とメーカーが推奨根拠にするETRTO規格が整合していなかったことを認めている状態。

    結果、タイヤが規格認証済みでも全てのフックレスリムで安全とは限らず、各社が個別に互換チャートを公開する事態になっている。

    ZIPPは以前25mm内幅リムに28mm(25mmすら)タイヤを互換としていたが、その後チャートを改訂し25mm内幅には29mm以上のみ互換に変更。
    CadexもGP5000 TLの複数幅やCorsa TLRの25/28mmを非互換と明記。ジェイコがタイヤまで含めてフル・Cadexで固めているのは互換性を保証するためと推測。

    読むだけで疲れる。
    あれだめこれだめ言われまくればそりゃ履く気なくすわな。



    フックレスで謳われていたメリットとその反論


    フックレス化のメリットは主に以下のことが挙げられてきた。

    ・軽量化(フック分の材料削減)

    ・製造工程の簡素化(コスト・時間の削減)

    ・耐衝撃性

    ・空力

    しかし、空力の有効性について

    HUNTは風洞とCFDでわずかなエアロ優位を確認しているというが、

    SILCAは「フックレスのエアロ優位は実際の風洞テストで一度も確認できたことがない。むしろタイヤが太めに実測されるためエアロ的にマイナスの場合すらある」と真っ向から否定していたりする。


    デメリットについては主に以下が挙げられている。

    ・空気圧上限72.5psi(5bar)

    ・チューブレスタイヤ必須(チューブも入れられるが利点が薄れる)

    ・統一互換規格が存在しない


    PARCOURS創業者のドヴ・テイトがこんなこと言ってる。

    「72psiの一律上限は、本来高圧で乗るべき体重の重い・パワーのあるライダーへの制約。

    空気圧を保つために太いタイヤを強いられ、リムによってはエアロ性能を損なう」



    私は〇〇だからフックレスを作らない。〜メーカーたちの声〜

    Roval
    MTB用はフックレスを作るがロードはフック継続
    「フックレスは当社の高圧テスト基準に耐えられない。タイヤが外れていい言い訳にはならない」

    名指ししていないがZippへの当てつけか


    Parcours
    「リム深さ等の条件を揃えたフック有無の直接比較データを公開した唯一のメーカーと自認している。
    性能差は確認できなかったためロード用フックレスは作らない。」


    DT Swiss
    「フックレスは高ボリューム低圧のMTB専用。ロードは全てフック付き。」

    ROVALと同じ考えか。


    Fulcrum
    「理由は互換性と安全性。
    フックレスが安全なのは特定の圧力範囲内のみだが、多くのユーザーはそれを知らずに入れすぎる。
    フック付きなら超過しても最大限の安全性を保てる。
    さらに自社テストでは同一リム内幅・同一タイヤならプロファイル変化は極小で、エアロにも転がり抵抗にも影響なし」

    高圧への懸念はどのメーカーも同じね。


    Newmen(TotalEnergies供給)
    「いやー、フックレスの利点はいろいろあるよね。
    でもうちはロード向けはフックありのみだよ。
    実走での安全性問題があるし、ロード空気圧域では空力の優位性がなくてさ。」


    エアボリュームが多く、低圧で運用するMTBはフックレスリムの優位性があり、
    エアボリュームが(相対的に)少なく、強度的にも高圧で運用するロードはフック付きが好ましい
    というのが多くのメーカーの判断か。
    全世界のサイクリストたちの命に関わるもの製造しているわけで、変な運用されても壊れないリムを設計しないといけないだろうし。規模が大きくなればなるほど大変だろうね。



    ・プロトンの大多数が選ぶのはフック付きリム。(まあこれはスポンサーの絡みもあるが。)というroad.ccの記事
    ・技術をリードするENVEが(セミ)フックリムに変更したというrenehersecyclesの記事
    この2つの記事を合わせて読むと、とても立体的につながる。

    つぎのホイールのトレンドはどうなるのだろうか。