彼がやりやがった。

今年のツールで、ファンデルプールが1x(フロントシングル)構成のバイクを使用しているのが確認された。

Veloがチームカーの上に載ったスペアのAeroadを撮影している。
初目撃は7/7の第4ステージ、フォワ行きのステージと思われる。
その他、velon.ccがこの件をSNSに発信している。





構成がだいぶ「自作」

  • リアディレイラー:XTR Di2 RD-M9250-GS(MTB用・ワイヤレス)
  • カセット:10-44t(?)
  • チェーンリング:Digirit製カーボン56T(1x用ナローワイド)
  • フレーム:Canyon Aeroad

見ての通り純正のロードコンポでは組めない構成。

・ロード用Di2のRDは34tあたりまでしか対応しないので、1x化でレンジを補う10-44tのようなワイドカセットが物理的に回せない。
・フロントディレイラーを外した1x構成では、チェーンを暴れさせないクラッチ機構が欠かせない。
・ワイドカセット対応・クラッチ付き・ワイヤレス、この条件を満たすシマノ製RDは現状XTR Di2しか存在しない。

つまり、「シマノで1xをやるならMTBに頼るしかない」ということだ。


TTバイクの1x化はもはや見慣れた光景だが、シマノパッケージのロードステージでとなるとかなりレアであり、Velo自身も「(シマノでこういうフロントシングル構成は)ワールドツアーのロードステージでこの構成を見たのは初めて」と書いている。

なおAlpecin-Premier Techは今年のツールで唯一コンポもホイールもフルシマノでスポンサードしているチーム。
その看板チームのエース選手がMTB用RDと他社製チェーンリングで走ってる構図、許されてええんか?いや、意図的に許されている…?



裏に潜むのはCanyon Aeroadの「198W」か?

アルペシンのバイクスポンサーであるCanyonは、ツール直前のEurobikeで最新のAeroad CFR LTDを発表している。




Tour Magazine誌の風洞テスト(45km/h、ヨー角±20°、脚が動くマネキン)で抗力198Wを記録し、「ツールで文句なしの最速バイク」を名乗った。


実はこの198W、フレームとコクピットの刷新のみで達成した記録ではない。


風洞テストで使用された構成は

  • SRAM Red AXS 1×13速
  • 10-46tカセット
  • DT Swiss ARC 1100 65mm
  • 新型一体式RACEバー

つまり最速の看板を出した構成はSRAMの1x構成なのである。

ここはほぼ語られていない闇部分ね。


BikeRadar誌が「TOUR Magazine誌が旧型(2xデュラエース+50mmホイール)を利用して実験をしたときのテストは204Wだったので、足回りで1~2W,差分4Wの一部は1x化によるものじゃねーかな」とBikeRadarは分析している。


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最速の最適解は1Xである

これがCanyonがエアロードで掲げたアンサー。


シマノ供給のアルペシンはこの「Canyonの最適解」をカタログ通りには組めない。
だからMVDPを擁するアルペシン陣営はXTRを持ち出して、シマノ機材のまま198W構成に近づけようとしたのでは、というのがVeloの推測だ。
なお使ってたのはマチューだけ。

王は何をしても良いから王なのだよ。



1xの採用例は今年すでにパターン化してる

  • 春のパリ〜ルーベ:Ineosのターリングらが1xリング+XTR Di2で走行。TotalEnergiesのCubeにもXTR RDが確認されてる。パリルーベで採用されるのは定番中の定番ではあるね。
  • 開幕TTT:シマノ供給チームがこぞって64〜68tのアフターマーケット1xリングを使用


  • そしてそしてそしてVisma。ヴィンゲゴーは山岳のツールマレーのステージですら1xで走り、Cycling Weeklyに「1xのせいで負けたのか?」という記事を出されてたりする。


フロントシングルの利点おさらい
  • FDとインナーリングが消える分のエアロ改善。AeroCoachいわくアマチュア速度域で1〜2W、プロのスプリント域(60km/h超)だと3〜4W
  • 「同じパワーの2人がスプリントしたら、1xの方が毎回勝つ」(AeroCoachのディスレー氏)
  • 機構がシンプルになりチェーン落ちのリスク要因が減る
  • 若干の軽量化

デメリットのギヤレンジの部分は12,13速化でやや埋まっている…らしい。

レースでのスプリントの優位性はあるのかね?一斉に「よーいドン」ではないし、そこに至るまでの駆け引きもあるし。


今後フロントシングルは増えるのか


BikeRadarはルーベの時点で「ツールのフラットステージで1xを準備するチームが出てくる」と予言していて、今回のMVDPがそれをして証明した。
SRAMは1xロードを公式サポート済み、シマノは未対応。
スポンサードチームのエースにMTB用RDで走られることはシマノも面白くないだろう。どうにかしなければという水面下の動きはすでにしているはず。
E-Tubeアプリに13速の項目がお漏らし件といい、次期デュラエースも純正で1xという対応は避けて通れないんだろうな。





~あとがき~

昔3T Stradaっていう1xのバイクを使っていたチームがプロコンにいたんだよ。
発表当時に「コース毎にレンジとギア比を選択していけば困らないんだ」とか言って。
選手からギアがたりねぇ!と不満爆発しまくって結局FD付けてた覚え…あの時はまだ11速だったっけか。
結局市販向けにもSTRADA DUOみたいなFD台座付きのフレーム出すという掌トルネードしてたな。
時代先取りし過ぎてたんだね!