我々中華パーツ愛好家にとってのマザー、AliExpress。

そのAliExpressにEUがどでかい罰金を打ち込んだとのこと。

Ali側はもちろん控訴の構え。




何が起きたのか

2026年7月20日、欧州委員会がAliExpressに5億5000万ユーロ(約1000億円くらい)の制裁金を科した。

EUのデジタルサービス法(以下DSA)の違反としては過去最大額らしい。

理由は、「偽造品・危険な玩具・危険な化粧品といった違法製品の流通を十分に取り締まらなかった」とのこと。


調査期間はなんと28ヶ月

調査は2024年3月に始まっており、2年以上かけて行われていた。

  • 当初の懸念のほとんどはAliExpressの是正約束で片付いた
  • しかし「違法製品の拡散リスクの評価・軽減」という一点だけが最後まで残り、これが制裁対象に
  • AliExpressの検出システムが違法製品をフラグ立てした後も数週間単位で放置されていた例が多々あった
  • 上記の間、その違法品が広告掲載やレコメンドされていた
  • DSAは「違法品をレビューする人員が足りていないか、まともに評価していなかった」と人員体制の不備を指摘

システムが「これヤバいですよ」と検出したのに数週間放置ってことならあかんわな。自浄が働かない。まあ知ってたけど。


実は温情判決だった

ここが地味に怖いところ。

DSAは全世界売上高の最大6%まで罰金を科せるらしい。

つまり、Alibabaグループの年間売上は1,480億ドルなので、理論上は約76億ユーロ(約1.4兆円)まで制裁金を科すことが可能だった

それが5億なんぼのユーロで済んだ理由を「DSAがまだ新しい法律だから」と説明している。

つまり「初犯だからまけといたるわ」って感じか?

裏を返せば、次は容赦しないというメッセージか。

ちなみにAli側は「健全なリスク管理体制を無視した不均衡な制裁」として上訴の方針なので、決着はまだ先であるね。

健全ではないエビデンスをDSAに示されてるのにね。


中華ECの包囲網の一環か

狙い撃ちにされてるのはAliExpressだけじゃないとのことで、

  • 今年5月、Temuにも2億ユーロの制裁金(同じく危険物販売)が科される
  • Sheinも別途DSAが調査中
  • 制裁の数週間前にEUは中華ECを狙い撃ちにするような新関税も導入した
  • おまけにAlibabaは2026年6月にアメリカでも違法医薬品の輸入疑惑で6億ドルの和解をしたばかり(菱形の青っぽい色のやつとかいっぱい売ってるしな)

というわけで、大西洋挟んだ両側で同時に爆弾投げられた感じ。

ヨーロッパ人の5人に1人が月1回以上これら中華ECで買い物してるという浸透ぶりも背景にあるとのこと。

安さで生活に食い込んだ分、監視の目も厳しくなったわけだ。


で、我々への影響は?

ここが一番気になるところだと思うが、正直に言うと短期的にはほぼ影響はないと思われる

明日からAliExpressで買い物が出来なくなったり、値段が急に上がるとかはないはず。

ただ長い目で見ると

「AliExpressがちゃんと検品する」=「そのコストがどこかに乗る」

つーわけで、じわじわ~と価格や手数料に転嫁される可能性少なからずある。

安さの構造に、規制コストという新しい重りが乗っかってくる感じ。


一点、誤解のないように書いておきたい。


今回槍玉に上がってるのは

「偽造品・粗悪品を放置したプラットフォームの体制」の話であって、

中華パーツ全部が危険という話ではない


我々が普段お世話になってるようなちゃんとしたブランド(自社工場を持って正規に売ってるメーカー)と、AliExpressにはびこる偽ブランドコンポや規格無視の粗悪品は、完全に別物。


偽カーボンフレームの破断とか、規格を満たさない怪しいヘルメットとか、超粗悪コピー品とか、この趣味の界隈でも「危険な製品」の話は昔から絶えないわけで。

今回制裁されてるのはこのあたりの製品を知りながら放置し続けていたこと。


「安全に関わるパーツだけは、素性の分かるところで買え」というのは昔からの鉄則だと思っている。

今回、それをEUが1,000億円という額で再確認させてくれた、としよう。


何度も言っているが、中華品の購入は自己責任が伴うものと認識しての購入が必要。

特にブレーキとヘルメットとカーボン(特にホイールやハンドル周り)、変なケチりかたはダメね。